節分の頃に玄関先に飾られる柊鰯(ひいらぎいわし)ですが、最近ではあまり見られることが少なくなってきました。
柊鰯にはどんな意味があるのでしょうか。また、いつ頃から飾られるようになったのでしょう。
ここでは、柊鰯の意味や由来、飾り方についてお伝えします。
節分の柊鰯には、どんな意味があるのでしょうか。
柊鰯というのは、葉のついた柊の枝に鰯の頭を刺したものです。
昔から節分の頃になると、これを玄関先に飾る風習があります。
節分の魔除けや厄除けとして玄関や軒先に飾ります。
昔から「鬼」とは、病気や厄災、邪気などの目に見えない悪い物の比喩とされています。
この鬼が玄関から家の中に入って来ないよう、厄を祓う効果があると伝えられて来ました。
鬼は、「鰯の頭の生臭い匂い」と「柊の葉の痛い棘」が嫌いだと考えられています。
鰯を焼いた時に出る煙や、鰯の生臭い匂いを鬼が嫌うため、近寄って来ないと信じられています。
また、家に鬼が入ろうとした時、柊のトゲが鬼の目を刺して退治してくれると考えられています。
このように昔から、「匂いの強いもの」「尖ったもの」は厄払い、魔除けに効果があるとされています。
節分の柊鰯には、どんな由来があるのでしょうか。
平安時代に書かれた「土佐日記」に「柊鰯」の記載があります。
これが「柊鰯」について書かれた一番古いものだとされています。
約1000年以上も続く、日本の風習なのです。
その頃は、鰯は「弱し(よわし)」と呼ばれていました。
鰯は陸に上げるとすぐに弱って死んでしまうからです。
漢字で書くと「魚へんに弱い」と書くのもそのようなことが由来となっているかも知れませんね。
また、昔、鰯は身分の低い人の食べ物でした。そのため、鰯は「卑し(いやし)」と呼ばれていました。
正月の門口に飾ったしめなわに、柊の枝と「鯔(ボラ)の子」の頭を刺したことが始まりとされています。
なぜ鯔(ボラ)なのかは、「鯔の口の中から失くしていた鍵が出て来た」という故事の記述が残っているのだそうです。
これが、柊鰯を飾る風習の元となったと言われています。
江戸時代の書物にも明治以降の出版物にも、「柊鰯」の記載が多く見られます。
鯔(ボラ)から始まった風習が「柊鰯」となったのは、江戸時代の少し前くらいと見られています。
節分の柊鰯の飾り方は、どんなきまりがあるのでしょうか。
「鰯の頭を焼いたものを柊の枝に刺す」という「柊鰯」の風習ですが、飾る期間や飾り方の決まり、飾った後の処分はどのようにしたら良いのでしょうか。
- 鰯の頭を焼く。
- 葉の付いた柊の枝を用意する。
- 柊の小枝を鰯のエラから目に向かって一気に刺す。
※柊鰯の準備にも大切な意味があります。鰯を焼いた時に出る煙にも、魔除けの効果があるとされているのです。
鬼の侵入を防ぐためには玄関先や軒下に飾るのが良いです。、
しかし、住宅事情によっては玄関の中に飾るご家庭もあるようです。
柱や門扉に吊るすという方法もありますね。その場合、柊と鰯をしっかりと固定しましょう。
一般的には、2月3日の節分の日ですが、地域によって様々です。
- 節分(2月3日)だけ
- 節分(2月3日)から立春(2月4日)まで
- 節分(2月3日)から2月中
- 節分(2月3日)から一年間
- 節分(2月3日)から雨水の日(2月18日)まで
- 小正月(1月16日)から節分(2月3日)まで
※飾り物によっては当日に飾る『一夜飾り』は縁起が良くないと言われますが、「柊鰯」については、例外のようです。
また、柊鰯を飾るのは、全国的なものではなく関東と周辺地域のみの風習です。
福島にも柊鰯を飾る風習がありますが、ほかの東北地方には見られません。
「塩でお清めをして半紙に包んで捨てる」というのが一般的です。
そのほかでは、神社でお焚き上げをしてもらうという方もいるようです。
いずれにしても、「鬼」から家を守って頂いたのですから感謝の気持ちをこめて処分しましょう。
まとめ
- 昔から、「匂いの強いもの」「尖ったもの」は厄払い、魔除けに効果があると伝えられる。
- 平安時代に書かれた「土佐日記」に「柊鰯」の記載がある。当時は鯔が使われていた。
- 江戸時代から柊鰯を飾る風習ができた。
- 柊鰯は、玄関先や軒下に飾るのが良い。
- 柊鰯を飾る期間は、一般的には2月3日の節分の日だが、地域によって異なる。
古くからの風習は、時代とともに変化します。
既に行われることが少なくなった風習も少なくありません。節分に柊鰯を飾る習慣も最近では見かける事が少なくなりました。
古い時代から受け継がれた人々の想いに触れることも、子供の情操教育のひとつと言えるかも知れません。